近頃メディアなどでもとりあげられ、密かなブームとなっている落語。
新宿の寄席「末廣亭」に通う若い女性の方をよく見かけます。
しかし、実際落語を聞きに行こうと思ったとき、どの話がわかりやすく面白いのか迷うところです。
今回は落語初心者の方にもやさしい、最初に聞いて置きたいおすすめのお話のご紹介です。
[box class=”blue_box” title=”この記事はこんな方におすすめ”]・これは聞いておいた方がいいという落語を知りたい
・古典でも難しくなくわかりやすいものが知りたい
・おすすめの落語のあらすじを聞いてから寄席に行きたい[/box]
[box class=”blue_box” title=”あわせて読みたい”][kanren postid=”172″][/box]
最初に聞きたいおすすめの落語2選
今回は「まんじゅうこわい」と「芝浜」の2作品に絞ってみました。
こちら2作品は、人気のある古典落語でお話もシンプルでわかりやすいものです。
芝浜の方は、笑いだけではなく江戸時代の人情も描かれ、心温まるストーリーとなっています。
まんじゅうこわい
「まんじゅうこわい」は、広く知られている古典落語で人気の演目のひとつ。
若手の練習用の演目として扱われることもありますが、ベテランの落語家さんが持ちネタとすることもあります。
・あらすじ
ある日することもなく暇をもてあました町人が数名。
各々嫌いな物や怖い物を話して行く。
嫌いな物を話している最中、ひとりがこんなことを言った。
「大の男がそんな物を怖がるとは情けない。」
「俺は世の中に怖いものなどない!」とこのようにうそをつく一人の男。
他の町人達が「オメェは本当に怖いものはねぇのか?」と聞く。
すると男は「本当はある」と皆に話す。
さらに話を聞いてみると、男の怖いものは「まんじゅう」だと言う。
男は「まんじゅうの話をしたから気分が悪い」そう言って部屋へ戻り寝てしまう。
嫌いな物を言い合っていた男達、「気に食わないからあいつをまんじゅう攻めにしてやろう」。
そういうと男達は、まんじゅうをたくさん買い、男の部屋へまんじゅうをたくさん投げるのでした。
それを知らずに目覚めた男は大量のまんじゅうに驚きます。
男は「こんなものは食べてしまおう」とまんじゅうを全部食べます。
その様子を見ていたまんじゅうを投げ込んだ男達、自分たちは騙されていたのだと気づきます。
それに腹を立てた男達は、男にこう言います。
「本当に怖いものは一体何だ」そう聞くと男は、「このへんで濃いお茶が1杯怖い」というのでした。
芝浜
「芝浜」も古典落語のひとつで、中でも人情噺として定番のお話。
落語の中でも面白く、夫婦愛をテーマに描かれた心温まる作品です。
・あらすじ
天秤棒一本を担ぎ、魚かしを生業としている勝五郎。
魚かしとしての腕はとても良いいのですが、勝五郎は大の酒好き。
仕事中も酒を飲みすぎて失敗続き。男としてもうだつの上がらない勝五郎。
そんな勝五郎は、裏長屋で女房と二人貧乏暮らし。
その日も朝早く女房に起こされ、仕方なく魚の仕入れに向かうのでした。
家を出た勝五郎でしたが、時間が少々早く市場はまだ開いていませんでした。
人のいない夜明けの浜辺、そこで顔を洗い煙管をふかす勝五郎。
しばらくすると足元になにやら物陰を見つける。海に沈んでいたのは財布でした。
その財布海から拾い上げ、中を覗いてみると、今まで見たこともない大金が入っていました。
勝五郎はこれで大金持ちになったと浮かれ、慌てて家に帰ります。
家に帰るやいなや、酒飲み仲間を集めどんちゃん騒ぎ。
翌朝二日酔いで目覚めた勝五郎、そこへ女房が来てこういいました。
「こんなに飲んで誰が支払いするんだい」と言うと、勝五郎は昨日拾った財布の話をしました。
しかし女房は、そんな財布は知らないと言う。
女房が言うには、お金欲しさに酔っ払って夢でも見たんじゃないかと言います。
さぁこれを聞いて慌てたのは勝五郎。
まさかと思い、家中を引っ繰り返し財布を探します。
ですがどこをどう探しても財布はありません。
勝五郎はついにあれは夢だったのかと財布を諦めます。
これを気に勝五郎は、こんな生活をしていたらいけないと考えなおし、大好きだったお酒も止め死にもの狂いで
働きました。
そして三年後、表通りに立派な店を構え暮らしも安定してきました。
これはその年の大晦日ことです。
勝五郎は女房にねぎらいの言葉をかけ、頭を下げます。
すると、そこで女房は、あの三年前の財布の話をはじめました。
勝五郎が財布を拾ってきたあの日、これまでに見たこともない大金を見せられ戸惑っていたのです。
一両あれば一年暮らせる、十両盗めば首が飛ぶ、とこのように言われていた為、横領が見つかれば即刻死刑。
女房は慎重に長屋の大家さんにことを相談しました。
大家さんは財布をきちんと役所に届けようと話しました。
それを聞き、女房は酔っ払った勝五郎を見て財布ははじめからなかった、夢でもみたんじゃないかと言い切ることにしました。
それから年月が経ち、役所から連絡がきました。
財布の落とし主が現れなかったということで、財布を拾った勝五郎の物となったのです。
この事実を聞いた勝五郎、あのときの財布を女房に見せられました。
それを見ても勝五郎は、女房のことを一切責めることなく、酒に溺れ道を踏み外すところだった自分に立ち直る
チャンスをくれた女房に心から感謝をするのでした。
女房は勝五郎の三年間をねぎらい、久しぶりにお酒を勧めます。
それを聞いて拒んだ勝五郎でしたが杯を手にし、「じゃあ呑むとするか」と一度は杯を口元に運びますが、
持っていた杯を置きます。
そして勝五郎「いやよそう、また夢になるといけねぇ」
まとめ
今回は「まんじゅうこわい」と「芝浜」の2作品をご紹介させていただきました。
どの落語を聞くか迷われた際、参考にしていただければと思います。